ふたたび南会津へ
工場のまわりでは桜も満開になり、いよいよ丸太のシーズンも終わるこの時期を
狙って、昨年に続き、今年も福島の南会津へ丸太材の購入に出かけました。
高速のインターを下り、そこから山道を1時間半ほど走るのですが
今年は雪が少なく暖かかった。
拍子抜けしながら材木の土場にたどり着いたのですが、東京の職人仲間と現場で
落ち合い丸太の山を見ると一気にアドレナリンが沸きます。
どんどん目移りする中で、値段や材の雰囲気から、山桜とクリの2本どちらかまでに
候補を絞りました。
大きさ、形、共に申し分はなさそうだ。クリの木口をみると、しかし
根回りの割れが入っている。
サクラはあまり馴染みがないのと、以前見たサクラが乾燥中にねじ曲がり
真っ二つに割れんばかりの割れが走っていたことを思い出しました。
さあ、ここからが大変。
一日目の下見を終え投宿したのですが、その仲間も自分も無口のまま。
部屋に入っても無口のまま。
食事を摂っても無口のまま。
お酒を呑んでも無口のまま。
頭の中は明日丸太を買うかどうかで一杯です。
その時、ちょうど昼間土場でお会いした丸太買いのベテランの方たちが
食事にやってきました。
そこで丸太買いの色々な経験談や心構えを聞き、さあ、盛り上がるか!と
思いましたが、やはり2人は言葉少な。
丸太は何万円も出して買い取って、製材してから初めていい材か
悪い材かがわかるのですから、慣れるまではバクチをするようなところがあります。
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宿のまわりを散策。 |
それでも心は晴れず、土場へ向かいました。
まだ決めかねている自分達の隣で、昨夜のベテランさんが何気ない一言。
「これからも買わなきゃわかんないし、何が出てもそれは自然のモノなんだから美しいんだよ」
必殺の呪文、ふたたびです。
2人ともそれぞれサクラとクリを買うことにしました。
腹が据わると強いものです。もう何でも出ろや。すぐ製材だ!
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こちらは山桜。 |
材を製材台に載せ、巨大な帯鋸で板材へ。
先行した友人のサクラは大当たり。通直で美しい木目が現れました。
友人は弾けそうな笑顔とガッツポーズ。
ああ、いいな。うらやましい。と思っていると次は自分の番です。クリが製材台に
載せられ、帯鋸が轟音を立て始めました。
そして現れたクリの板材は・・・本人の心配はどこ吹く風。
そこに居合わせたベテラン一行が感嘆の声を上げるほどの板材でした。
自分は製材台の上で大喜びしながら、とにかく安心したのを覚えています。
注意・大きい音が出ます。
丸太買いは魚市場でマグロを競り買うのと同じ。と読んだことがありますが
大当たりの赤身やトロを手に入れるのはこんな気持ちでしょうか。
製材後、皮むきや割れ止め剤を塗るなどの後作業を済ませ、今回桟積みは
現地でお願いすることにしました。
これから2年間、無事に乾燥してくれるのを楽しみに待つ毎日です。
この材料でテーブルやカウンターを作ったら・・・などと考えています。
興味のおありの方はお問い合わせください。