2016年1月21日

研究室にて


都内の大学で社会学の教授をされているH様から、小さめの収納のご注文をいただきました。

サイズは 1000mm (h) × 600mm (w) × 300mm (d)

以前よりご自身の研究室にこのサイズの収納を探していたらしいのですが、
良いものが見つからない。それならば特注で製作しよう。という事で注文をいただきました。




構造としては複雑なものではありませんが、家具の雰囲気をシャープなものにするか、
少し線の太いものにするかで随分悩みました。
しかし、お話を伺っていると、件の研究室は「膨大な量の蔵書」が溢れ、さらに「雑多な
ものが氾濫している」という言葉が引っかかりました。

ヴォリュームが大きくない家具なので、あまり線が細いとその中に埋もれてしまう気がし、
今回は少々線太な家具にしました。


納品にお邪魔した研究室、どんなものかと扉を開けたところ、両壁棚一杯の資料・書籍の山、
ウイリアムス・モリスの壁紙、気軽に出入りするゼミの生徒さん達、その手にはなぜかお茶碗に盛られた白米・・・。

視界に飛び込んできたのは湯気を上げる炊飯器。
「いや〜、いつの間にかご飯も炊くようになって。ゼミ生がよく食べるんだよ」

・・・まるで、どこかの部室に紛れ込んだような感覚を味わいながら、
自分が大学生のときゼミや教授はこんなにリラックスした関係ではなかった。
もしこんな場所があれば、学校やあのころの自分の時間がどれだけ
楽なものになったんだろ、などと羨望を込めて思いました。



社会学の一環として、ライフスタイルデザイン=暮らしの価値というものも教えているHさん。
そのような方が、価値のあるものを使う、という生徒さんへの資料という意味も込めて
オーダーしてくださった今回のお仕事。

納品の時にあがった歓喜の声と、このような場に自分が選ばれたありがたさと緊張。
忘れる事はできないものになりました。




さあ、遠慮せずに