毎日のこと
近ごろずっと考えている。
木で家具を作る、という事。
そもそも木という生き物の体を、切って削ってモノを作っている以上、
毎日の食卓に出て来る牛や豚や、野菜、魚・・・・
そんな食材と何も変わらないのではないか。
そんなもので家具を作るのだから、食べ物と同じで
いただきます。ありがとう。ごちそうさま。と考え
何も無駄には出来ない。と意識する。
そうして毎日手を動かし、暮らす中でふと思った。
木で家具を作る、という事。
木でないと作れない。木だから作れた。
という物を作るべきなのか、
木なのに作れた。木とは思えないものを作れた。
という物を作るべきなのか。
この2つは思考の方向が全く異なっていると思う。
そして両方とも正解だと思う。
自分はこれからどの方向へ舵をきればいいのか。
近ごろ、こんな葛藤にも似た気持ちを抱いて毎日を過ごすようになった。
過日、木とは思えない、木でないと作れないもの。と考えていて
突然頭の中に閃いた家具がある。
何日も何週間も考えて突然頭に降り注いだアイデア。
まさに頭の中で電球がはじけるような。目の前が一気に拓けるような。
その閃きがそのまま製作出来るのかは判らないが、あまりの嬉しさに興奮し、
その晩はまくし立てる様に喋り続けたことを覚えている。
ところが数日前、何となく見つけたインターネットの木工サイト
他の製作者が既にそんな家具を製作していることを知った。
自分の思いついた家具が目の前に現実にあり、そして想像通り
それはとても美しく、とても独創的な家具であった。
モノを創る。ということは難しい。