2014年10月11日

あれこれ考える



椅子をデザインしています。

世界には様々な椅子があり、私たちもそれらを参考にしたり反面教師にしたりもして椅子を考えます。

時代や国ごとにいろんなデザイナーがいますが、やはり椅子デザインで一番著名なのは
この人、ハンス・J・ウェグナー。



デンマーク出身のこの人、90年以上の生涯でデザインした椅子の数は500脚はくだらない、と云われています。
自分も椅子を考えるにあたり、彼の様々な椅子デザインを、文献を紐解くように図面を眺めたりしていました。

するとある時、ウェグナーの指向の変化という面白いことに気がつきました。

彼の若い頃の椅子というのは、もちろん実利面も考えてありますが、そのような事の他に
人の目を引くようなデザイン、華のある形の椅子が比較的多い事に気がつきました。

それがだんだんと後期、晩年に近づくにつれて「製造コスト」「座り心地」「耐久性」といった実用的な面が
より椅子デザインでのウェイトを占めていったような印象を受けたのです。
それはまるで面識のない、このデザイナーの生涯を伝記映画か何かでなぞっているような気がしました。

人が変われば椅子も変わる。
当たり前の話ですが、ウェグナーのような巨匠でもやはりそれは当てはまるのだ。
そしてそれぞれの時期のデザインを見て、ウェグナーがその時何を考えて図面を引いていたのか。
そんなことを考えながら彼のデザインした椅子を眺めてみるのも楽しいものだな。と思いました。







さあ、遠慮せずに