2014年9月18日

玄関用?




横浜青葉区Oさまのご注文で一人掛けのスツールを製作しました。
材料はチェリー。
大きさは幅400mm × 奥行き300mm × 高さ380mm。
少し大きめの座面、少し低めの座高です。


ある日、ご夫婦でいらしたOさま。別のお仕事の話でいらしたのですが
なぜか追加でスツールの注文をいただき、なぜか追加の仕事を先に納める形になりました。

お話では玄関で靴を履くときに座る腰掛けが欲しい。とのこと。
最初はデザインのスケッチを起こし、それで打ち合わせを・・・と話していたのですが
「定番商品にしたいスツールやし、作り直しでもいいから先に形にしてお見せしよう」と
スイッチが入った結果、こうなりました。



このスツール、脚を製作しているときに少し太すぎる気がして、それを5mm細くしようか随分悩みました。
実際はそのままの太さで製作をして、完成したものはバランスのいい形になったと思うのですが
新しいものを作るときは相変わらず些細なことを考え、それが気になり手が止まり、完成までに時間を費やす・・・。

この形にならない時間がどうにかならないものか、と思いますが、この模索がないと
ただの自己模倣の繰り返しで仕事を進めて行くのではないか・・・と考えたりもしています。

そうして悩みたまえ。
でもそれだけじゃア、仕事にならないよ。


納品後記ですが、お客さんにスツールをお見せしたところ、喜んでOKをいただきました。
「座りやすいし、玄関に置いておくのはもったいない!リビングの方で使いつづけるかも」

いつもこの言葉で救われます。









2014年8月30日

トグル・チェスト

トグル・チェスト



このチェスト、引き出しが24杯もあります。
ひとつの引き出しを基準に他を削り合わせようとするのですが、
その日の天候で板材が動いてしまい、基準が変わったりと、予想通り製作は非常に苦労しました。

またこれだけ時間をかけると、自分の中でも製作するモチベーションを保つのが
大変になってくるのです。

昔の古い薬局や、その他からインスピレーションを受けてデザインが決まったのは
以前書きましたが、好奇心と思いつきから始めたこのチェストの製作が苦痛に感じることはなかった、とは言えません。

しかし逆に、そうだからこそ完成したときの嬉しさと開放感は、なんとも言えないものでした。



ちなみにこの引き出し、ぜひ「つまみ」にもご注目ください。

古い飛行機や車の操縦席にあった「トグルスイッチ」
それをイメージして形が出来上がりました。
こういうやつ

前板の美しさを邪魔しないうえ、数が多いので並んで美しく、スッキリした形の
つまみを考えているうちに、頭の中に閃きました。

これもまた非常に手間のかかる形で、製作中のつまみを見た友人には
「なんて面倒なことを・・・」と呆れられましたが、終わった今はああ作って
よかった、などと考えています。
製作途中に整列。兵馬傭みたいですな。



このように、普段はなかなか作らないであろう家具を製作するのは
設計や製作・コストなどいろいろと勉強になりました。
その中で一番の課題は時間がかかりすぎたことでしょうか。
仕事に追われ、時間に追われているうちに季節は変わっていきました。

露往霜来・光陰矢の如し。




こけた。



2014年8月17日

ローズウッド



ローズウッドで細工をしています。

世界中で木材資源の減少が進んでいる昨今、このローズ材もその例にもれず
各地の産地での乱伐採による稀少化で、さらに投機的な性格を強める悪循環をくりかえしています。

削るとバラの香りがする、といわれるローズウッド。
加工していると、作業場にふわりと独特の香りが広がります。






2014年7月12日

椅子・再張り直し


以前張り直したドクターチェア、ふたたび座面の張り直しをすることになりました。
時間とともにクッション部のワラ柴がへたってしまったのでクッション材を補充するのです。

まずは裂地をはがします。
底張りをはがした所、バネには異常がなく安心しました。


前回再利用したワラ柴はへたりが早かったので、今回は新しくパームロックを詰めることにしました。
パームロックはヤシの繊維をラテックスと結合させたクッション材です。

クッション材は、弾力・耐久力・油の多さから、馬毛が一番最高!と以前親方に教わったのですが、今はあまりにも
稀少なものになってしまいました。

そこで馬毛の廉価品として現れたのが「マホラン」と呼ばれているクッション材。
こちらはユリ目の植物マオランの葉っぱを細かく裂いて繊維状にしたものですが、このマホランもいつの間にか市場から
姿を消してしまいました。
自分も椅子張り屋さんに勤めているころ、1、2回目にしたきりでした。




そしてさらに代替品として世に現れたのが、このパームロック。
場所によっては「ファイバー」と呼ばれていたと思います。

このパームロックも工程的に今ではほとんど使われなくなってしまいましたが
今回の張り直しのために、伝手を頼ってあちこちの椅子材料屋さんにかたっぱしから声をかけ、かたっぱしから断られていました。
「う〜ん、今どきそんなもの無いなあ」「ウレタンチップ使うしかないよ」

(ソンナコトハ ワカッテイル)
と思いつつ、せっかくの昔の椅子を昔のまま張り直して欲しい。というお客さんの
注文を叶えることはできないのかな。と頭を抱えている時でした。

同業者の所に顔を出したところ、そこに今まで付き合いのなかった材料屋さんがおりました。
また断られるのかな。と思いながらその材料屋さんに顛末を話すと・・・

「ん、パームロック?うちはあるよ。いくらでも手に入る」

その力の抜けた心強い言葉に、こちらもずっこけつつ、嬉しくて小躍りしたのを覚えています。



まだまだ詰めます。

ようやく手に入った詰め物。心置きなくたっぷりと補充しました。





座り心地も格段に良くなったのですが、お客さんにはどう評価されるのでしょうか。
納品を前に緊張したりもしています。







・・・そういえば最近、工場にヤモリがよく出ます。
文字通り家をお守りください。






2014年6月25日

水無月と紫陽花



工房入り口にて。

たまにゃアあたしも花を見て「ああ、きれいだナ」なんて思いますよ。ええ。梅雨の合間だしね。










2014年6月5日

ギャラリーテーブル

展示テーブル納品


三重県伊賀市のギャラリー「アートスペースいが」に展示台 兼 レセプションテーブルを
納品しました。


材料はタモ材。幅2.1m、奥行き80cm。部屋の回遊を妨げない、いちばん大きいサイズ。
なかなかのヴォリュームです。


こちらのギャラリー、この7月からのオープンのため建物を新築し、準備を進めています。
建物が立ち上がり、内装を進める段階でギャラリー内部に置く展示台をどうするか、の話が出たようです。

そんな時に共通の知人のいるお施主さんと、ギャラリー設計の建築家さんがテラモトに白羽の矢を立てて製作依頼してくだすったようです。
その選考の理由が、建築にも展示の作品にも邪魔をしない家具の作風であること、という条件だったようです。

自分を前面に押し出し、すぐに飽きるような家具を作りたくないことを信条に製作をしてきた私としてはそれを聞いてなんだか嬉しくなった事を覚えています。
(商売としてはもっと目立たなければ。とも思うのですがネ)



製作は建築家さんの起こしてくれた図面を見て、家具としての納まりや材料についてのあれこれを打ち合わせてスタートしました。

無垢材のテーブルの場合、普通は天板の裏側に「吸い付き桟」という材の反り止めを入れるのですが、今回は「とにかくスッキリさせたい」という事で、厚みのでない鉄の反り止めを埋め込む事にしました。

強度を出すため、平板ではなくL型の鋼材をチョイス。

埋め込みの溝を掘り、埋め込みました。
年代物の年寄りもがんばる。



今回、普段はあまり使わないタモ材を使ったのですが、家具の形によってはあまり和の雰囲気にならない事に気がつきました。

タモ=和っぽくなる。と思っていた自分の食わず嫌いだったようです。
建築家さんなど、他の人のデザインしたものは普段の自分の発想にない刺激を受けます。
家具と建築との関係や材料のこと、いろいろと勉強になったテーブルでした。






追記
今回納品に訪れた三重県の伊賀上野、古代から交通の要所として栄え、江戸時代には伊賀上野藩の城下町として栄えただけあって市内には古い町並みが残されていました。




松尾芭蕉の生家や、板倉準三の設計した市役所庁舎など、まだまだ見たいものが
あります。
今回は往復850kmの納品でくたびれましたが、一度ゆっくりお邪魔したいものです。





ギャラリー「アートスペースいが」
三重県伊賀市上野福居町3337
0595-21-3473

建築設計「根岸正典・計画工房」
神奈川県藤沢市市川名2-1-2-4F
0466-27-0432




2014年5月23日

最近のいろいろ


近ごろ、椅子の木部修理の仕事をいただきました。


椅子のアキレス腱ともいえる、後ろ脚の接合部のホゾが折れてしまったようです。
まずは椅子を分解して部品を作り直すのですが、分解して、思ったより
複雑な構造の椅子だったことに気がつきました。


折れた部品を作り直し、
同じ部品を作るのは意外とムツカシイ。

無事組み上げ納品したのですが、ビフォア・アフターの写真を両方撮ってありません。
そこが一番の問題です。




さあ、遠慮せずに