2015年1月4日

2015



新年は雪の一日で始まりました。
お正月の雪は縁起がいいと云います。

今年はどんな年になるのだろう。
みなさまにとっても良き一年となりますように。
本年もよろしくお願いいたします。




2014年12月28日

修理のしごと


町田の古着屋さんから店舗什器の修理を依頼されました。

Made in USAだけは判るのですが、製造年も何用の什器だったのかもまったく判らず。

お店の方が落としてしまい、ガラスは粉々に、本体もほぞが折れバラバラになってしまったものを
修理しました。



おそらく40年以上前に製作された什器と思いますが、構造も材料のナラもとにかく上等なものでした。
昔はこんなのが当たり前だったんだろなあ。ウチにも欲しいなあ。作ってみようかなあ。


今年ももうお仕舞。昨日お正月だったと思っていたらもう1年経ってしまった感じです。
このリニア以上のスピードはなんでしょうか。
2014年もありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。
よいお年を!





2014年12月1日

葉山・加地邸


10月、11月の週末だけ公開されていた葉山の加地邸を見にいきました。
まずはアプローチ。正面からは建物の見えない細い路地。大谷石が見事です。

三井物産のロンドン支店長を勤めた加地利夫氏が、1928年に自分の別荘として葉山に建てたこの住居、
設計はフランク・ロイド・ライトの高弟、愛弟子と呼ばれた遠藤新。

そこを抜けると、

遠藤さんは人の動きを水の流れにたとえて建築の動線を考えていた方で、この加地邸の建物へのアプローチも
感動的、情緒的な設定がされていました。

建物に到達。

そのような考えは、建物の中でも徹底されていて、動線だけでなく、人の視線の動きまで考えられ
設計者の思惑どおり水のように建物の中を回遊した気がしました。


フランク・ロイド・ライトといえば、落水荘などが有名ですが、ライトも建物を設計するのに
水や火の要素を重要視したのは有名な話です。
一番弟子だった遠藤さんもそのことから様々なことを学んだのでしょうか。



ちなみに邸内は撮影禁止でしたが、家具や建具なども建物と統一されすばらしいものでした。


   現在お孫さんが所有されている、というこの建物、普段は公開されていませんが
これからどのように維持・活用していくか検討中、とのこと。     
   願わくは常時公開のような形で遠藤建築を開放してもらいたいものです。   



   









2014年11月23日

溶けかけたお菓子


建築家の方からの注文で、山形の旅館のキーホルダーを製作しました。


材料はウォールナット。
現在使用しているキーホルダーを交換するため、新規に製作することになりました。
大きさ 75mm × 75mm、だいたいの形は決定していたのですが、本体の厚みや面の取り方は協議をしながらの製作になりました。

最初は本体面をちいさく曲面取りし、比較的角張った雰囲気のものができあがったのですが
さらにお客さんに工房に来ていただき、実物を見ながらその場で機械加工をして形をチェックしていきます。

「もう少し面を大きく」「もうすこしなだらかに」「なかなか難しいねえ」

2人で意見を交えながら最終的な形を決定しました。


機械での加工はすぐに終わるのですが、ここからの仕上げが大変でした。
部屋番号の加工、サンドペーパーでの仕上げまでの研磨、オイル塗装の仕上げ・・・。

小物なので家具以上に手触りを意識して、仕上げを行いました。
結果自分で言うのも僭越ですが、「触って気持ちよく、なんだか撫でつづけてしまう」触り心地に仕上がったと思います。

建築家のお客さん共々、2人してキーホルダーを撫でまわしながら
「触り心地もいいし、形も色も溶けかけたチョコレートみたいだ。いいですね!」
満足していただいたようです。


触ってみたい方、サンプルが工房に置いてあります。見てたもそ。





すべて並べると木目が通っています。







2014年10月27日

ソファーと羽毛と驚きと


全長2,5mという巨大なソファーを張り替えました。


イタリアはB&Bというメーカーが10年程前に発売していたソファー、との事。
いまはもう絶版になり製造していないらしいのですが、愛着を持って使用しているので
張替えができないか、というご相談でした。

最初相談に工房へいらした時はお客さんのお持ちしたカタログを見て、軽自動車並みのその値段に驚き
実物を拝見したときはその大きさに驚きました。

なんとかご自宅のマンションから搬出を済ませ、工房で裂地をはがし始めたのですが
次はそのソファーのあまりにも高度に洗練された企画・技術に驚きました。
普通、このようなソファーを見た時、自分たちのような特注ものをつくっている人間は
木部の構造はどうなってんだろ、と思いますが、このソファーは木部がまったく無く、
硬質ゴムの細いフレームに後はすべて発泡ウレタンの固まりで出来ていたのです。

幸い発泡ウレタンはヘタリがなく、チップゴムをすこし補充してベースを作れたのですが
もしも発泡ウレタンがへたっていたら全く手の出しようがありませんでした。
このような構造のソファーは大メーカーが膨大な時間と人間、そしてお金をかけ企画をし、大掛かりな生産設備を
製造し、そこからオートメーション的にソファー生産をするものなのです。

ま、まさか、そんなものがこの農家の納屋跡 工房へ来るなんて。と思いながら布地のパターンの型を取り始めましたが
デザインもまた高度で複雑なものでした。
たとえば、背中が角度を変えながらねじれて座面につながり、その座面も傾斜の角度と座の大きさが変化している、というものです。


これはゼロから作れ、と云われても・・・。などと思いながら張替えを進めたのですが、
今回は普段あまり採用する事のない羽毛のクッションを使用してみました。
ふかふか。

コストはグンと上がりますが、ウレタンゴムのみのクッションよりも「バフッと」した座り心地になります。
そして羽毛の下は固めのウレタンクッションを入れ、体をしっかりと支えてくれるようにしました。

量産メーカーのソファー製作の仕方、普段あまり使うことのない材料へのアプローチなど
勉強になることが非常に多い仕事でした。
ただ、まだ学習していないことは、いまだに張り替え前のソファーの写真を撮り忘れ続けることでしょうか。




2014年10月11日

あれこれ考える



椅子をデザインしています。

世界には様々な椅子があり、私たちもそれらを参考にしたり反面教師にしたりもして椅子を考えます。

時代や国ごとにいろんなデザイナーがいますが、やはり椅子デザインで一番著名なのは
この人、ハンス・J・ウェグナー。



デンマーク出身のこの人、90年以上の生涯でデザインした椅子の数は500脚はくだらない、と云われています。
自分も椅子を考えるにあたり、彼の様々な椅子デザインを、文献を紐解くように図面を眺めたりしていました。

するとある時、ウェグナーの指向の変化という面白いことに気がつきました。

彼の若い頃の椅子というのは、もちろん実利面も考えてありますが、そのような事の他に
人の目を引くようなデザイン、華のある形の椅子が比較的多い事に気がつきました。

それがだんだんと後期、晩年に近づくにつれて「製造コスト」「座り心地」「耐久性」といった実用的な面が
より椅子デザインでのウェイトを占めていったような印象を受けたのです。
それはまるで面識のない、このデザイナーの生涯を伝記映画か何かでなぞっているような気がしました。

人が変われば椅子も変わる。
当たり前の話ですが、ウェグナーのような巨匠でもやはりそれは当てはまるのだ。
そしてそれぞれの時期のデザインを見て、ウェグナーがその時何を考えて図面を引いていたのか。
そんなことを考えながら彼のデザインした椅子を眺めてみるのも楽しいものだな。と思いました。







2014年9月18日

玄関用?




横浜青葉区Oさまのご注文で一人掛けのスツールを製作しました。
材料はチェリー。
大きさは幅400mm × 奥行き300mm × 高さ380mm。
少し大きめの座面、少し低めの座高です。


ある日、ご夫婦でいらしたOさま。別のお仕事の話でいらしたのですが
なぜか追加でスツールの注文をいただき、なぜか追加の仕事を先に納める形になりました。

お話では玄関で靴を履くときに座る腰掛けが欲しい。とのこと。
最初はデザインのスケッチを起こし、それで打ち合わせを・・・と話していたのですが
「定番商品にしたいスツールやし、作り直しでもいいから先に形にしてお見せしよう」と
スイッチが入った結果、こうなりました。



このスツール、脚を製作しているときに少し太すぎる気がして、それを5mm細くしようか随分悩みました。
実際はそのままの太さで製作をして、完成したものはバランスのいい形になったと思うのですが
新しいものを作るときは相変わらず些細なことを考え、それが気になり手が止まり、完成までに時間を費やす・・・。

この形にならない時間がどうにかならないものか、と思いますが、この模索がないと
ただの自己模倣の繰り返しで仕事を進めて行くのではないか・・・と考えたりもしています。

そうして悩みたまえ。
でもそれだけじゃア、仕事にならないよ。


納品後記ですが、お客さんにスツールをお見せしたところ、喜んでOKをいただきました。
「座りやすいし、玄関に置いておくのはもったいない!リビングの方で使いつづけるかも」

いつもこの言葉で救われます。









さあ、遠慮せずに