ひだ取りアンティーク椅子
座面はバネが落ち、背中はひだ取りのボタン締めで、手間のかかる張り替えでした。
海外で作られた椅子というのは、たいてい合理的な発想で製作されており
そんな椅子を張り替える時、まともに組み合うと辻褄を合わせるまでに大怪我を負います。この椅子もそんな椅子でした。
通常、こういう椅子は背中下部に「巻き込み」という木部品があり、それが背中椅子張りのテンションを支えます。ところがこの椅子にはその巻き込みがありませんでした。背中左右木部に受け張りをピンと張り、そのテンションだけで上布まで支えていました。
これでは構造としてはあまりにも脆弱で、張り上がってすぐは良いかもしれませんが、長持ちしないのはあきらかでした。そこで巻き込みも追加製作することにしました。
壊れた木部修理に始まり、足りない木部品の製作、バネ下地からの完全なやり直し、その他勉強になることばかりでした。
ひだ取りの椅子張りはあまり経験がなく、実際に形に出来るか不安もありましたが
無事に張り替えが終わり、安堵しました。