ドアノブ考
手慰みでドアノブ風の把手を削り出しました。
オーソドックスな形で回せそうだけど回らない。というのも面白いナ。と思い
自宅のトイレのノブを参考に削り始めましたが、いざ自分でその形を作り出すと
面白いことに気がつきました。
形としては何て事のないドアノブで、似たような形なら簡単に作れるのですが
そこから先の使い心地まで踏み込むと、おそろしく繊細で完璧な
形をしていました。
首の太さ、握りの径、形、長さ、面の大きさ。
手というのは高性能のセンサーです。
老若男女幾多のユーザーが、普通に握って捻って引っ張って。
何の違和感も持たない形にするのに、設計段階で
おそらくコンマ何ミリかの精度で追求してあるのだと思います。
それを金属でなく、無垢の木材で削り出すと、その形の美しさにも気がつきました。
柳宗悦の提唱した「用の美」
それが教条化してしまう前は、こういうことを言っていたんだろうな。
今も径を0,5mm細く削りながら、そんなことを考えていました。