お題
梅雨入り直前に湘南江ノ島へ打ち合わせに出かけた。
普段自分たちの使う駅から、電車で1時間足らずで、もうそこは別の国のようだ。
降り注ぐ太陽、海の近くゆえの開放感、歩いている人の人情まで違ってみえる。
こういう、普段と異なる場所に来ての楽しみのひとつにその土地その土地の
古い民家を見ることがある。
土地の気候風土に即した、理にかなった建物。日差しの強い場所には庇を深く、
湿気の強い場所には敷地や土台に工夫を凝らし・・・。
それぞれの個性を持った民家だが、そういえばこういう建物はだいたい築50年
以上のものばかりだ。60年代を境に住宅の様相が変わった気がする。
50年前の事を考えると、その頃あった大きな出来事といえば東京オリンピックだ。
やはり家具(とくに椅子張り)の世界もオリンピックを挟んで大きく
変わったらしい。
椅子張りの親方がよく言っていたことを思い出す。
「やっぱり(東京)オリンピックを境に材料が変わったね。ウレタンが
出てきたんだよ。
ウレタンが出てきたらそれまでの藁やバネなんか全然使わなくなっちゃった。
そっちのが全然手ェ早いんだもん。入ってすぐのヤツでもすぐに下ごしらえ
出来ちゃうし」
今、世間はそういう事への振り戻しの波と、さらにそれを突進める波の
二極化が進んでいる。ローカリズムとグローバリズムの対比だ。
2020年にはまた東京でオリンピックが開かれる。
そのとき世の中はどうなっているのだろう。