2015年10月4日

意外な仕事もあるもんだ


以前ダイニングテーブルハイバックチェアを納品した三重県のBさんより
ピザ窯型枠のご相談をいただきました。

大きさは直径600mm・高さ300mmの半球に窯口部分の鼻が付く形です。

自身が経営する築炉会社で「軽トラックの荷台に載るような大きさの」ポータブルピザ窯を開発することになり、そのための
耐熱タイル用の型を木材で製作することになりました。

築炉屋さんという、珍しい職業のBさん。
なかなか耳にすることも少ない仕事ですが、普段は陶芸窯等の製作はもちろん、産業用の高熱炉の周囲に耐火レンガで
耐熱壁を築いたりしています。
そのノウハウを生かし、さらに間口の広い仕事を創る目的で、今回のピザ窯の企画が出たようです。

お話をいただいた当初は家具屋のウチではなく、木型屋さんの仕事のように思いましたが
Bくんの熱い口調にほだされて挑戦することにしました。


製作は加工のしやすさと完成後の取り回しを考え、桐で製作しました。
桐の集成材をさらに積層してかまぼこ形に削り、さらに半球に削り出していきました。
その大きさから木工旋盤で回転させることも難しく、電気鉋で荒削り後、手道具で削ることになりました。






本体の半球削りの他に、窯口と本体の削り合わせが3次元のRになるため
苦労しましたが、型枠として問題ない納まりになりました。



それともうひとつこの仕事を難しくした要因が「型枠を使い耐熱タイルで形を作ったあと、窯口から型枠を分解して
出せるようにする」という事でした。

これも上下6分割できるようにして問題をクリアしたのですが、削り加工する前にブロックを6つ作り、
それを仮止めしてから半球を削りました。




同じ木材で製作するとはいえ、家具とはまったく異なる今回のお話。
こういうことにも手を出してみると何かの経験になり、また新しいものにつながるのかな、と
形にできた故の安堵感の中で考えています。



「藤原築炉」
三重県いなべ市藤原町石川1179
0594-46-4095







さあ、遠慮せずに