2017年7月12日

昔のもの



少し前、ジャガーEタイプのシート張り替え検討のお話をいただきました。
こういうものは本来『車の内張り屋さん』と呼ばれる専門職が存在しますが
「本革を扱えるのならば・・・」と、近所の車屋さんから相談を受けました。

最終的には車のオーナーの判断で、張り替えをせずに当時のままの姿で
使用する事になりましたが、自動車のシート張り替え、
ましてやジャガーのシート張り替えとは面白い話があるものです。

一度座らせてもらいましたが、背中のR、腰のサポート、クッションの
座り心地、張り地の革の仕立ての良さ、そして全体の形の美しさ。
すべて良好でよく考えられていました。家具とはまた違う機能美です。

当時のデザイナーやエンジニア、メーカーの気概を感じ取れるものでした。





2017年6月9日

お題



梅雨入り直前に湘南江ノ島へ打ち合わせに出かけた。
普段自分たちの使う駅から、電車で1時間足らずで、もうそこは別の国のようだ。
降り注ぐ太陽、海の近くゆえの開放感、歩いている人の人情まで違ってみえる。

こういう、普段と異なる場所に来ての楽しみのひとつにその土地その土地の
古い民家を見ることがある。
土地の気候風土に即した、理にかなった建物。日差しの強い場所には庇を深く、
湿気の強い場所には敷地や土台に工夫を凝らし・・・。
それぞれの個性を持った民家だが、そういえばこういう建物はだいたい築50年
以上のものばかりだ。60年代を境に住宅の様相が変わった気がする。

50年前の事を考えると、その頃あった大きな出来事といえば東京オリンピックだ。
やはり家具(とくに椅子張り)の世界もオリンピックを挟んで大きく
変わったらしい。
椅子張りの親方がよく言っていたことを思い出す。
「やっぱり(東京)オリンピックを境に材料が変わったね。ウレタンが
出てきたんだよ。
ウレタンが出てきたらそれまでの藁やバネなんか全然使わなくなっちゃった。
そっちのが全然手ェ早いんだもん。入ってすぐのヤツでもすぐに下ごしらえ
出来ちゃうし」

今、世間はそういう事への振り戻しの波と、さらにそれを突進める波の
二極化が進んでいる。ローカリズムとグローバリズムの対比だ。

2020年にはまた東京でオリンピックが開かれる。
そのとき世の中はどうなっているのだろう。




2017年6月7日

穴空け



ケヤキのカウンターに穴を空けている。
集塵はしているが、狭い作業場の中はケヤキの匂いと削りくずに包まれた。

出来上がりを見ると何てことのない作業にみえるが、ルーターの騒音と埃、振動。
気を抜くと一瞬で失敗する作業なので、集中した身体の消耗も激しい。

もっと効率の良い集塵、加工方法は無いかな・・・、いつもそんな事を考えながら
作業は続く。




2017年5月17日

クルミテーブル



クルミのダイニングテーブルを製作しました。
寸法は1700w × 700d 高さは脚を差し替える事で、低めのテーブル600h と、
ローテーブル320h の二通りで使用することができます。

耳付きの板材を使うので、ジョージナカシマや民芸調の形にならないように
脚のデザインには気をつかいました。
また、差し替えができる=強度に気を使わなければいけない。という点から
長手の振れを抑えることに腐心しましたが、問題なく強度を出すことができました。


ローテーブルバージョン 

今回は、2年前にクルミの桟積みをお願いしたお家のために製作しましたが
庭先で乾かしていた板材が、こんな形でテーブルになる様子を喜んで
もらえたようです。
一本の丸太から製作したため、天板はブックマッチ、脚もすべて同じ木から
製作(共木)できたのも貴重な体験でした。




2017年5月16日

コンプレッサー



最近、ふとしたご縁からいただいたコンプレッサー。
えらく貫禄があるなア、と製造年月日を見ると
「S.59/3」。

木工機械に始まり、業務用の機械は30年間当たり前のように動き続け
られるものが多い。工房の機械も中古で揃え、おそらく20年、30年
選手ばかりだろう。
その機械たちもベテラン揃いなのに、全く問題なく使うことができる。

そしていま、頑丈な製品を作っていた国内の新型機械メーカーの
ほとんどは廃業・転業している。

いいものを作ることで自社の売り上げを細めることになる。
産業構造の変化なども絡むとはいえ、皮肉な問題だ。

男前のコンプレッサーは何を想う。




2017年4月27日

新緑 



根を詰めた仕事の合間を見て、近郊の日帰り温泉へ骨休め。
築100年は経とうかというお宿の建物、昼でもしっとりと薄暗い
休憩場所に座り、建物の見事な普請や欄間細工を見ていると
窓の外には萌えるような緑がひろがっている。

薄暗い室内から見る新緑は一幅の絵画のよう。


ゆっくり静かに流れていく時間。

身体の強張りも抜けていきます。





2017年4月15日

イレギュラー



機械でオニグルミの丸太材を削っていたら、「カリッ」と音が鳴り、銀色に輝く
ものが見えました。

「なんだろう?」

よく見てみると、散弾銃の弾だ。
おそらく狩猟中の流れ弾だろう。

このクルミは確か岩手で伐採されたもの。

何を獲ろうとしていたのだろう。鳥かな?鹿かな?兎かな?

散弾だから、食用目的ではないだろう。

害獣駆除かな・・・。

狩りの素人なりにいろいろ考え、一時、岩手の山中にいるような気分になりました。

こんな予想外のことも起こるので、自然のものは面白い。



さあ、遠慮せずに